ひそひそ話

すこしおはなし。

しんみり。

 

 

 

わたしは品川の新幹線のりばの見えるスターバックスで、うなだれていた。

 

 

 

 

ずっと好きな写真家がいた。

その人が写真展をやっていることに気づかず、夏は過ぎていったのだけど、

私はその事実に、写真展終了1週間前に気付いてしまったのだ!

 

 

 

 

これはもう、行くしか無い。

品川には数えるくらいしか行ったことがない。

電車に何十分も乗るほど遠いし、

新幹線だって東京駅で乗る。

意を決して、わたしは品川に足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のに。のに。

どうみても開いてない。

ドアが開かない。電気も消えている。

あと1週間はやってるはずなのに・・・

 

 

 

 

 

急いでHPを見てみると、定休日の所に目が行った。

あ、今日、何曜?あ、定休日・・・。

 

 

 

 

 

私は昔からそうだ。

頭よりも先に身体が動いて、肝心なところを見落としてしまう。

慎重なところは慎重なのに、本当に肝心なところを見落としてしまう。

 

 

 

 

 

ちびまる子ちゃんでよく出てくるみたいに、

頭にガーンという文字が浮かんだ瞬間に、

雨が降ってきた。本当にその一瞬で、ザーザー降りになった。

こんなにドラマみたいなことがあるのかと自分で面白くなってきてしまって、笑ってしまった。

 

 

 

なんだか面白くなってきて、来た道を引き返した。

 

 

 

 

でも私の心が折れることはない。

せっかく品川に来たのだし、ふらふらしてから帰ろう。

その前に、スターバックスで、美味しいコーヒーを飲もう。

 

 

 

 

 

新幹線のりばの見える席に座りながらぼんやり考える。

品川にはたくさんの人がいる。

日曜でもスーツを着たサラリーマンや、スーツケースを持って楽しそうにしている人、これから何処かに行こうとする人、帰る人。

いろんな人の人生をのぞいてみたいなと思う。

わたしもその中に紛れるひとりで、

わたしの人生はいまここにあるんだなあ、としみじみと感じる。

 

 

 

昨日までのわたしはもうここにいないけど、

焦らず、ゆっくり進んで行こうかなあ。

そう思った休日。

 

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